ロバの耳☆

たまに書きたいことをだらだらと書く。

『風立ちぬ』反戦やら純愛やら置いといて、ひたすら良かった。

 

 公開初日。『風立ちぬ』昼間に観てきたんで書きます。

 今回はネタバレしても大して問題にならん内容かと思うけれども、一応、微妙なネタバレ注意で。テーマの話をします。

  

 結論から言って、すごく楽しめた。心に響いた。もう一回観たくてたまらん。

 基本的に俺は「観ている、あるいは読んでいる最中面白ければそれで良い」と思っている人間なので、読後感はさほど重要視していない。だけれど『風立ちぬ』は鑑賞後ひたすら心に残った。台詞とシーンがふつふつ頭に浮かんでくる。観ている最中は堀越二郎の人生を追いかけているばかりで、惹き付けられこそすれ、「わあ楽しい!」という感情を抱くまでには至らなかったんだけど。もうね、庵野のラストの台詞が良いよね。あれを聴けただけで、庵野を主役に据えて良かったと思う。

 ついでなので庵野の話をする。『庵野がジブリの主役』というニュースは間違いなく今年一番のビッグニュースだと思う。会社の昼休み(だっけ)に耳にしたんだけど、思わず同僚へ話を振ってしまったレベル。けれど、庵野が主役で本当に良いのかよっていう思いはあった。誰でもあるだろ、それは。役者経験あるっつっても、まぁ下手だし。あれで物語に入り込めるのかな、てのはあった。結果、まぁ、良かった。庵野の棒読みじゃない方が生きるよなぁ、ていうシーンはたくさんあったけど、庵野の声だから良いよね、ていうシーンもあった。賛否両論だとは思うけど、俺は好き。ぶっちゃけ次第に慣れてくしね。前述したけど、ラストの台詞だけで庵野がやる意味はあったよ。エヴァと絡めたメタ的な意味合いは置いといても。

 テーマの話。帰り道で感想を漁っていたら、反戦だの純愛だのといった話がちょくちょく目に入った。もちろん、そういったシーンはある。戦争も愛もあった。けれど、主軸は最初から最後まで『二郎の夢』だったものと思う。万人受けする内容ではない。情熱を注ぐ、なにかしらの夢を持った経験のある人間にはクリティカルヒットする映画だった。

 夢と夢をかけて(伝わりにくいな、すみません)たびたび作品内に登場する、二郎とカプローニの対話。これがマジで良い。二郎の目指す道が物語の始めから見えている。特にカプローニの台詞で「飛行機というのは、戦争の道具でも商売の道具でもない、我々の夢だ」みたいなのがあるんだけど、これがこの映画の全てだと思う。徹頭徹尾、二郎は夢を追っている。だから夢を支えた菜穂子を愛するし、夢を阻害する戦争は嫌いだ。結局、最後は戦争の道具に使われるゼロ戦だけどもね、夢は追っているだけで素晴らしく美しい。某SF作品の言葉を借りれば「彼らは必死に生きた。それで良いじゃないか」。そういう話だった。だから生きねば。

 思い出しただけで泣けてくるってのは、俺この映画そうとう好きらしい。そのうち、また観に行こう。

 

 以上。

 では、また。