『不死身ラヴァーズ』今年一番の当たりかもしれない話
※ちょっとだけネタバレ注意
前評判なんも仕入れずに、とらのあなで購入金額1000円へ届かせるため(池袋店で1000円以上金払うと100円引きクーポン使える)に購入した『不死身ラヴァーズ』。が、無茶苦茶面白かった。
タイトルでちょっと損してる気がしなくもない(ゾンビものっぽいよね)し、みんな読んで俺へ感想を語りかけてくる人になって欲しいので宣伝のため書く。
これ。
- 作者: 高木ユーナ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/09/09
- メディア: コミック
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まず設定が凄い。
主人公「甲野じゅん」は「長谷部りの」のことが大好き。だから告白する。すると長谷部りのも甲野くんのことが好きになる。その瞬間、長谷部が世界から消える。そして長谷部が再びリセットされて世界に出現する。また甲野くんは長谷部に告白する。以下ループ。
意味わかんない。ぱねえな。けどこれで物語続けてる。
システムは明白で、甲野じゅんと長谷部りのが両思いになった瞬間、長谷部りのは世界から消える。甲野くん以外全ての人間の記憶が抹消され、存在もなかったことになる。新たに現れる長谷部りのは名前と容姿だけ同じで、年齢や性格はばらばら。別の人間とも考えられそうなくらいだ。例えば、最初の長谷部りの(甲野くん小学生)はクラスメイトで優しげな花屋の娘。二番目の長谷部りの(甲野くん中学生)は後輩ギャル。全然違う。
でも、何度リセットされても、それは長谷部りの以外の何者でもない。だから甲野くんは新たな長谷部りののことを無条件で好きになるし、繰り返し告白して両思いになる。好きだから。甲野くんのラブは(そして長谷部りののラブは)長谷部りのが何度消えても死ぬことはない。だから、不死身ラヴァーズ。だと考えられる。
以上、大まかな概要。
まず考えるのは、リセットされて再び現れる長谷部りのをすべて同一の存在と見るかどうか。つまり、彼女たちはみんな長谷部りのなのだとしても、一代目、二代目、三代目といった具合に、システム上「長谷部りの」という形をとっただけの、別々の存在なんじゃないかってこと。前述したけど、同じなのは名前と容姿くらいだもんよ。例えば、アマガミ辺りで、全ヒロインの立ち絵と名前欄に全て絢辻さんのものを当てたとして、それで全員絢辻さんってことになるのかって話。なるのかな。どうなのかな。
で、甲野くんの場合は、それで全員絢辻さんってことにした。絢辻さんの面被った美也ちゃんってことにはしなかった。長谷部りのは長谷部りの以外の何者でもない。それを読者に伝える演出が素晴らしいよね。甲野くんの実直な感情ががしがし作品内を動き回る。
しかし、やっぱりギャルゲ的な側面はある。ようは、甲野くんは長谷部りの攻略を延々と繰り返すわけだ。「神のみぞ知るセカイ」では複数の女の子を何度も攻略するわけだけど、こっちは同じ女の子を何度も攻略する。あちらは成功報酬があるのに、こちらは、ない。自らの欲求に基づき、甲野くんは長谷部りのが好きだから告白する。消えちゃうのに。少しエゴイスティックではあるけど、永遠に告白を繰り返すのを全く躊躇しないのは、やはり甲野くんのラブゆえだ。すごく舞城王太郎です。
いやー、今後の展開はまったく読めないな。どうすんだろ。いや、告白と消失を繰り返すんだろうけど。それでも作品全体としてのストーリーってのは進むわけで。3話なんか、マクロとミクロの設定を対比させたりして(ネタバレ防止のため曖昧な表現)最高でしたね。2巻は甲野くん大学生、長谷部りの中学生らしいけど……。あ、ちょっとだけ展開予想できそう。楽しみだなー。11月早くこい。
はい! というわけで、不死身ラヴァーズ、超おすすめ! みんな読もう!
以上、とにざぶろうでした。